マイクロボ開発の10カ年計画

通産省(現:経済産業省)は、平成三年度から10カ年計画で「マイクロロボット」の研究開発に乗り出した。

生体内や装置内の狭所での検査、診断、補修、治療などの作業を行う大きさが一立方センチメートルほどの独立・自律型マイクロロボットの要素技術と実証試験モデルを開発する画期的なプロジェクト。

総額約250億円を投じて加工法などの要素技術、運動制御などのシステム技術、マイクロ理工学などの支援技術を開発する計画だった。実現すれば医療、バイオテクノロジー分野だけでなく、プラントメンテナンスなどの分野でも革新的な技術進歩をもたらすものと期待された。

微小スケール作業のロボット化は、多くの分野で必要性が高まっていた。マイクロマニピュレーターや人工臓器に組み込む超小型駆動装置、マイクロセンサー、細胞操作システム、遺伝子操作システムなど医療やバイオテクノロジー分野だ。半導体製造など微細で複雑な作業とメカニズムを要求される分野でも待望論があった。

工作機械の加工・組み立て技術の精度向上、電子部品の微細化・高集積化によって家電製品のコンパクト化が進んでいた。しかし、メカニカルな分野での小型化・微細化技術はいぜん不十分と言われていた。長期的な観点に立ったマイクロロボットの実用化の調査研究、要素技術の開発研究が課題となっていた。