産官学が関西文化学術研究都市や彩都で
産官学でつくる関西次世代ロボット推進会議(議長=秋山喜久・関西経済連合会会長)は、関西を生活に密着した次世代ロボットの研究開発や関連産業の国際拠点とする構想について、2004年度に情報通信ネットワークと融合させたロボットの実現などに向けた実証実験に入る方針を明らかにした。関係省庁に予算配分を働きかけ、実験は関西文化学術研究都市や2004年春に一部がまち開きする国際文化公園都市「彩都」で実施する考えだ。
ユビキタス
関西次世代ロボット推進会議は、あらゆるものにコンピューターを組み込む「ユビキタス」ネットワークと融合させた「ネットワーク・ロボット」を新たな開発の方向に据える。
ロボットテクノロジー住宅
構想を先導する事業は、「未来住宅・未来都市」を想定した次世代ロボットシステムの研究開発などが中心となる。留守番や対話の機能があり、情報家電などを制御する家庭用ロボットを置く「ロボットテクノロジー住宅」を、情報通信ネットワークを通じて、健康管理サービスなどと統合することを目指す。
経産省「次世代ロボット実用化プロジェクト」に31億3千万円
2004年度予算で、経済産業省の「次世代ロボット実用化プロジェクト」に31億3千万円、総務省の「ネットワーク・ロボット」の研究開発に3億2千万円が認められており、関西次世代ロボット推進会議はこれらの予算からの配分を各省庁に求める。
CRLけいはんなオープンラボ
初期の実験は、通信総合研究所(CRL)が産官学連携のために設けた「CRLけいはんなオープンラボ」や対話型ロボットで先駆的な国際電気通信基礎技術研究所(ATR)がある学研都市で進めたい考えだ。医療・福祉サービスとの連携では、バイオ関連の都市再生プロジェクトの拠点となる「彩都」での住宅を使った街区実験も想定している。
関西次世代ロボット推進会議とは
大阪大など16の大学
関西圏を「次世代ロボット産業の国際拠点」とする構想を掲げ、関西の産学官で2003年4月に設立された。議長を発起人の秋山喜久・関西経済連合会会長、幹事長を上野至大・NTT西日本社長が務める。京阪神の3政令市など6自治体、大阪大など16の大学・研究機関、経済六団体、企業などが会員となっている。
家庭用ロボット「ワカマル」
2004年春にも都市再生プロジェクトに決定されるよう政府の都市再生本部に求め、中小企業の活性化による「地域経済再生」を切り口に働きかけを強める方針だ。決まれば各省庁の集中的な予算配分を期待できる。次世代ロボットとは、留守番、防災、医療・福祉など人間の生活を支援するロボットとされる。三菱重工業の神戸造船所が開発し、2004年春に発売予定の家庭用ロボット「ワカマル」は、家族の顔を見分けて予定を伝えたり、情報家電を操作したりする。留守中の異常や家族の急病時には、自分で消防や病院に通報する機能も持たせる方向だ。