生活支援ロボットの実証実験(2004年1月1日、読売新聞)

読売新聞の元旦の記事(大阪版)の転載されました。JDPアセットマネジメント株式会社ラボのスタッフが用語の部分などを一部編集しています。

産官学

関西文化学術研究都市や彩都で

産官学でつくる関西次世代ロボット推進会議(議長=秋山喜久・関西経済連合会会長)は2003年12月31日、関西を生活に密着した次世代ロボットの研究開発や関連産業の国際拠点とする構想について、2004年度に情報通信ネットワークと融合させたロボットの実現などに向けた実証実験に入る方針を明らかにした。関係省庁に予算配分を働きかけ、実験は関西文化学術研究都市や2004年春に一部がまち開きする国際文化公園都市「彩都」で実施する考えだ。

ユビキタス

関西次世代ロボット推進会議は、あらゆるものにコンピューターを組み込む「ユビキタス」ネットワークと融合させた「ネットワーク・ロボット」を新たな開発の方向に据える。

ロボットテクノロジー住宅

構想を先導する事業は、「未来住宅・未来都市」を想定した次世代ロボットシステムの研究開発などが中心となる。留守番や対話の機能があり、情報家電などを制御する家庭用ロボットを置く「ロボットテクノロジー住宅」を、情報通信ネットワークを通じて、健康管理サービスなどと統合することを目指す。

経産省「次世代ロボット実用化プロジェクト」に31億3千万円

2004年度予算で、経済産業省の「次世代ロボット実用化プロジェクト」に31億3千万円、総務省の「ネットワーク・ロボット」の研究開発に3億2千万円が認められており、関西次世代ロボット推進会議はこれらの予算からの配分を各省庁に求める。

CRLけいはんなオープンラボ

初期の実験は、通信総合研究所(CRL)が産官学連携のために設けた「CRLけいはんなオープンラボ」や対話型ロボットで先駆的な国際電気通信基礎技術研究所(ATR)がある学研都市で進めたい考えだ。医療・福祉サービスとの連携では、バイオ関連の都市再生プロジェクトの拠点となる「彩都」での住宅を使った街区実験も想定している。

関西次世代ロボット推進会議とは
大阪大など16の大学

関西圏を「次世代ロボット産業の国際拠点」とする構想を掲げ、関西の産学官で2003年4月に設立された。議長を発起人の秋山喜久・関西経済連合会会長、幹事長を上野至大・NTT西日本社長が務める。京阪神の3政令市など6自治体、大阪大など16の大学・研究機関、経済六団体、企業などが会員となっている。

家庭用ロボット「ワカマル」

2004年春にも都市再生プロジェクトに決定されるよう政府の都市再生本部に求め、中小企業の活性化による「地域経済再生」を切り口に働きかけを強める方針だ。決まれば各省庁の集中的な予算配分を期待できる。次世代ロボットとは、留守番、防災、医療・福祉など人間の生活を支援するロボットとされる。三菱重工業の神戸造船所が開発し、2004年春に発売予定の家庭用ロボット「ワカマル」は、家族の顔を見分けて予定を伝えたり、情報家電を操作したりする。留守中の異常や家族の急病時には、自分で消防や病院に通報する機能も持たせる方向だ。

「次世代ロボット」関西拠点に(2004年4月11日、読売新聞)

JDPアセットマネジメント株式会社が、2004年4月11日付の読売新聞のロボットに関する報道を転載・紹介します。

基礎研究

大阪圏における生活支援ロボット産業拠点の形成

関西を次世代ロボット産業の拠点とする「大阪圏における生活支援ロボット産業拠点の形成」(仮称)構想が、政府の都市再生プロジェクト(第7次)に選定されれば、民間企業や研究機関の取り組みを促す、格好の“旗印”となる。本格的なロボットの普及や産業集積には、10年単位の歳月が必要だ。この遠大な構想を、関西の産業や都市の再生に生かすには、基礎研究段階から産学官の連携を進め、中小企業を巻き込んだすそ野の広がりを持たせる必要がある。

介護や家事を助ける「生活支援ロボット」の実用化

産学官で作る「関西次世代ロボット推進会議」(議長=秋山喜久・関西経済連合会会長)は、少子高齢化に対応し、介護や家事を助ける「生活支援ロボット」の実用化を重点とした基本構想案を描いている。今後は、この推進会議を地元の推進母体とする一方、政府も関係省庁による推進組織を作り、具体的な取り組みを進める。

バイオとロボット

関西は重厚長大型の産業構造からの脱皮が遅れ、地盤沈下が進んだ。その反省から新産業の集積が課題となっており、2本柱にと期待されるのが、バイオとロボットだ。

厚生労働省の医薬基盤研究所

バイオ分野で、政府は2001年に「大阪圏におけるライフサイエンスの国際拠点形成」を都市再生プロジェクト(第2次)に選定した。この際には、大阪府北部への厚生労働省の医薬基盤研究所(仮称)の誘致などが動き、関係省庁による「総合的な支援」の成果が見えやすかった。大阪商工会議所は、これまでに約230億円の国のプロジェクト・施設を誘致できたと計算する。

これに対し、今回のロボット拠点構想は、具体化した大型事業が少なく、都市再生プロジェクト選定の効果も、すぐには見えにくいものになりそうだ。むしろ、中小企業の振興や実証実験の展開を強調した点が特徴とも言える。

関西経済連合会

関西経済連合会など経済界は、2002年末に「ロボット拠点形成」を産業競争力回復の重点目標に掲げ、大阪府などと共に水面下で都市再生プロジェクトへの選定を働きかけてきた。だが、当初は「都市再生」への道筋が見えにくいとの指摘もあって、なかなか政府側に理解されなかった。

構想の実現には、民間企業の積極的な取り組みが大前提となる。ただ、今は基礎技術の開発や実証実験など、企業、研究機関に共通する課題を協力して解決する段階だ。技術開発のリスクやコストを抑え、出発点の水準を底上げする環境づくりの時期といえる。

部品・素材を家電に応用

壮大な“夢”を掲げても、目の前の関西経済を活性化できなければ、都市再生プロジェクトに選定される意味がない。共同開発した基本技術や部品・素材を、デジタル家電に応用するなど、途中で実利も上げながら、息の長い取り組みを進める必要がある。